はじめに
Java言語で扱えるデータには数字や小数点や文字や文字列など様々なデータがあります。
この章では、基本的なデータの種類やデータの構造、データの使い方について学習します。
目次
- データ型の種類
- 変数
- リテラル
- 基本データ型の変換
- 配列
- 多次元配列
- コマンドライン引数
- 章のまとめ
目標
- Java言語で扱われるデータについて理解すること
データ型
Javaプログラムで利用されるデータは、メモリに格納され、利用されます。プログラムの実行が終了すると、このデータは削除されます。
また、Javaプログラムの実行中に使用される主なデータには、リテラル
と変数
の2つがあります。
リテラル
とは、具体的な値(データ)
で、変更ができない値(データ)のことです。例えば、123や4.5や”abcde”といったデータそのもの
を指します。
変数
とはデータを一時的に格納しておくための場所
のことです。箱のような形をしています。
さらにリテラル
と変数
には種類があります。Java言語では、データの種類のことを型
と呼びます。リテラル
や変数
が利用するメモリの大きさによって、様々な型
があります。
まずは型
について学習していきましょう。
データ型の種類
型
には大きく分けて以下の2つがあります。
古くからある伝統的な型は基本データ型
といいます。新しいもう一つの型はオブジェクトの概念に基づく参照型
です。
図のように、基本データ型は、整数型
、浮動小数点型
、文字型
、論理型
の4つからなります。 参照型には配列型
、クラス型
、インターフェース型
の3つがあります。
ここでは主に基本データ型
について解説していきます。 (参照型
については、後述の項目で解説します。)
基本データ型
基本データ型は整数型
、文字型
、浮動小数点型
、論理型
の4種類に分類されます。メモリー内のスタック
という場所で扱われます。
別名primitive型(プリニティブ型)
とも呼びます。
整数型
整数型
は少数点のつかない整数
です。扱える数値の大きさ
によってbyte型
、short型
、int型
、long型
に分かれます。型の指定がない場合、int型として扱われます。
int型
int型
は32ビット
で-2の31乗
から2の31乗-1
まで表すことができます。先頭の1ビット目は符号ビットを表します。通常、整数を扱うときはint型
を使用します。
整数型を扱うときに、型の指定がない場合はint型
として扱われます。
[使用例]System.out.println(123);
byte型
byte型
は8ビット
で-2の7乗
から2の7乗-1
まで表すことができます。先頭の1ビット目は符号ビットを表します。10進数で-128〜127までの範囲
が扱えます。小さなデータを扱う時に使用します。
[使用例]byte b = 123;
short型
short型
は16ビット
で-2の15乗
から2の15乗-1
まで表すことができます。intの半分のメモリーしか使わないデータ型です。大量のメモリーを利用できるようになった現在は、あまり利用されていない型です。
[使用例]short s = 123;
long型
long型
は64ビット
で-2の63乗
から2の63乗-1
まで表すことができます。int型で収まらないような巨大な整数を扱うときに使用します。
使う時には数値の末尾に「L
」または「l
」(小文字のエル)を付加してlong型のデータであることを明示
する必要があります。
[使用例]long l1 = 123L;
long l1 = 123l;
浮動小数点型
浮動小数点型
は小数点がつく整数
です。実数
とも言います。扱える浮動小数点型の大きさ
によって、double型
とfloat型
に分けられます。
double型
double型
は64ビット
で表現します。特に理由がなければ小数点を扱うときはdouble型
を使用します。
浮動小数点型を扱うときに、型の指定がない場合はdouble型
として扱われます。数値の末尾に「D
」または「d
」を付加してもdouble型
のデータとして扱われます。
[使用例]double d1 = 123.45;
double d2 = 123.45D;
double d2 = 123.45d;
float型
float型
は32ビット
で表現します。使用するときは末尾にF
またはf
を付与します。
[使用例]float f1 = 123.45F;
float f2 = 123.45f;
文字型
文字型
は一つの文字を扱う型です。コンピュータには全ての文字列に番号が振られており、文字を整数として記憶
します。
char型
char型
は文字コードを保持する型です。16ビット
で構成されており、使用する際は以下のようにシングルクォーテーション
で文字を表現します。文字と数値を対応させたユニコード表によって表現します。実態(メモリーへ記憶される際)は数値ですので、直接数値を指定しても文字を扱うことは可能です。
[使用例]char moji1 = 'あ'; //文字を指定する場合
char moji2 = 97;
論理型
論理型
は論理を扱う型です。コンピュータはもともと論理を扱う機械です。条件判断などで非常に重要な役割を負います。
boolean型
boolean型
は真
か偽
を表す型です。値としてはtrue
かfalse
の2つしかありません。
[使用例]boolean b1 = true;
boolean b2 = false;
変数
次に、変数について学習していきます。プログラムでは幾つかの理由から変数が必要です。
変数とは
変数
とは、コンピュータの中で処理に用いる値(データ)を一時的に保存
しておく場所
のことで、箱(値の入れ物)のようなものです。
例えば電卓を使って「5 + 3 = 8」を計算する場合、コンピューターの中では変数が作成され、「5」と「3」が一時的に変数へ格納されます。そして、変数に格納されている「 5 」と 「3」が足し算( + )され、画面に結果が表示されます。(「 8 」が表示されます。)
変数
は宣言
と代入
することによって利用することができます。
変数の宣言
変数
は、使用する前にデータ型
と名前
を宣言
しておく必要があります。
変数を作成する(名前をつける)ことを「変数を宣言
」するといいます。
変数の宣言方法は以下です。
[構文]データ型 変数名, 変数名 ...
[変数宣言の例1]int a; //int型の変数aを宣言
[変数宣言の例2]int a , b; //int型の変数aとbを宣言
変数へ代入
プログラムでは=
は代入(代入演算子)を表します。
[構文]変数名 = 値 や 式
[変数代入の例1(値を代入)]int a; //int型の変数aをint型へ宣言
a = 10; //変数aへ10(int型のリテラル)を代入
※変数
に代入
する具体的な値(データ)
をリテラル
といいます。上記の例の場合10
がリテラル
です。
※変数
へ値(データ)
を代入
する際は、原則、変数の宣言時に指定した型
と同じ種類の値(データ型)
でなければなりません。
[変数代入の例2(式の結果を代入)]
int a, b; //int型の変数aとbを宣言 |
例題(変数)
以下をコーディングし、実行結果を確認してみましょう。
項目 | 名前 |
---|---|
プロジェクト | alj_study |
パッケージ | chapter2 |
クラス | Variable1 |
package chapter2; |
コンパイル例:> javac chapter2¥Variable1.java
実行例:> java chapter2.Variable1
21
変数の宣言+代入(初期化)
変数の宣言
と同時
に代入
を行うことを初期化
といいます。
[構文(変数宣言と代入(初期化))]データ型 変数名 = 値 or 式など
[変数の宣言と代入の例1(値)]int a = 10;
int b = 20;
[変数の宣言と代入の例2(式)]int a = 10
int b = a + 10;
[変数の宣言と代入の例3(複数の宣言で一部の変数のみを初期化)]int a = 10 , b , c
例題(変数の初期化)
以下をコーディングし、実行結果を確認してみましょう。
項目 | 名前 |
---|---|
プロジェクト | alj_study |
パッケージ | chapter2 |
クラス | Variable2 |
package chapter2; |
コンパイル例:> javac chapter2¥Variable2.java
実行例:> java chapter2.Variable2
11
変数の命名規則
変数名はプログラマーが自由につけることができます。プログラマーが自由につけることができる名前のことを識別子
といいます。
識別子に使える文字列は以下です。
ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ |
識別子の書き方には以下の規則があります。
- 数字から始まってはならない(先頭文字は数字以外)
- 英字の大文字と小文字は異なる文字として扱われる
- 予約語は使えない
- 名前の長さに事実上制限はない
予約語
予約語
とは、Java言語の中でキーワードとして予約されている言語です。
宣言や処理を記述するために使われる特別なキーワードです。
主な予約語は以下です。abstract assert boolean break byte case catch char class const continue default do double else enum extends final finally float for goto if implements import instanced int interface long native new package private protected public return short static strictfp super switch synchronized this throw transient try void volatile while
※予約語であっても文字の一部が大文字にしたり、識別子の一部として使うのであれば問題なく利用できます。
識別子の慣用
識別子の作り方としては以下のような慣用があります。
- 基本的には小文字を使う
- 2つ以上の単語を連ねる場合には2つ目以降の単語の先頭文字を大文字にする(
キャメル記法
) - 2つ以上の単語を連ねる場合には2つ目以降の単語は_(アンダーバー)でつなぐ(
スネーク記法
)
変数名とクラス名の慣用
変数名とクラス名の名前の付け方にも慣用があります。
クラス名
- 基本的に小文字を使う
- 先頭文字を大文字にする
変数名・パッケージ名など
- 基本的に小文字を使う
- 先頭文字を小文字にする
変数の名前の付け方の事例
変数名 | 説明 |
---|---|
taxValue | 税額 |
employee_Name | 社員名 |
totalFree | 合計金額 |
リテラル
リテラルとは、数字や文字を直接ソースプログラム内で表現し、変更できないデータのことです。
リテラルの種類
Java言語で利用できるリテラルの種類は以下のとおりです。
種類 | 説明 | 例 |
---|---|---|
整数リテラル | 少数部を持たない数値のこと | 123、0b001101、0123、0xFF |
浮動小数点リテラル | 少数部を持つ数値のこと | 1.41431256、123e-2 |
真偽値リテラル | 真または偽を表現するためのデータ | true、false |
文字リテラル | 1文字を表現するためのデータ | ‘a’、’A’、’¥u0041’ |
文字列リテラル | 文字列を表現するためのデータ | “おはよう”、”Hello” |
整数リテラル
10進数だけではなく、16進数、8進数、2進数のリテラルを使うことができます。
種類 | 例示 | 説明 |
---|---|---|
10進数 | 127 、 127L、127l | Lまたはlを末尾に付与するとlong型とみなされる。何もつけないとint型とみなされる。 |
16進数 | 0x7f、0X7F | 先頭に0xまたは0Xを付ける。 |
8進数 | 0177 | 先頭に0を付ける。 |
2進数 | 0b01111111、0B01111111 | 先頭に0bまたは0Bを付ける。 |
例題(整数リテラル)
コンソールに整数リテラルを出力してみましょう。
項目 | 名前 |
---|---|
プロジェクト | alj_study |
パッケージ | chapter2 |
クラス | Variable3 |
ソースコード:package chapter2;
/**
* 実行するためのクラス
* @version 1.0
* @author Yamamoto
*/
public class Variable3 {
/**
* mainメソッド
*/
public static void main(String[] args) {
System.out.println(127); //10進数
System.out.println(127L); //10進数(long型)
System.out.println(127l); //10進数(long型)
System.out.println(0x7f); //16進数
System.out.println(0X7F); //16進数
System.out.println(0177); //8進数
System.out.println(0b01111111); //2進数
System.out.println(0B01111111); //2進数
}
}
コンパイル例:> javac chapter2¥Variable3.java
実行例:> java chapter2.Variable3
127
127
127
127
127
127
127
127
浮動小数点リテラル
小数点の付く値ですが、eまたはEを使って指数形式でも表記できます。
種類 | 例示 | 書き方 |
---|---|---|
10進数表記 | 12.34、12.34f、12.34F、12.34d、12.34D | 末尾にdまたはDを付けるとdouble型とみなされる。末尾にfまたはFを付けるとfloat型とみなされる。何もつけないとdouble型とみなされる。 |
指数表記 | 1234e-2 | eまたはEで指数を表す。 |
例題(浮動小数点リテラル)
以下をコーディングし、実行結果を確認してみましょう。
項目 | 名前 |
---|---|
プロジェクト | alj_study |
パッケージ | chapter2 |
クラス | Variable4 |
package chapter2; |
コンパイル例:> javac chapter2¥Variable4.java
実行例:> java chapter2.Variable4
12.34
12.34
12.34
12.34
12.34
12.34
文字リテラル
文字リテラルは1つの文字を表します。プログラムでは文字を'(一重引用符)
で囲うか、ユニコード(Unicode)
で表現します。ユニコードで表現する場合も'(一重引用符)
で囲う必要があることに注意してください。
種類 | 例示 | 書き方 |
---|---|---|
文字 | ‘あ’、’a’、’日’ | 文字を「’」で囲う。 |
文字コード | ‘¥u0061’ | ユニコードを「’」で囲う。 |
※ユニコード(Unicode)
は世界中の国の文字を1つの体系にまとめたもので、世界標準の文字コード体系です。
※char型の変数へ整数リテラル(10進数、8進数、16進数)を代入し、ユニコード(Unicode)表に沿って文字リテラルとして
扱うことも可能です。
以下の文字リテラルは全て同じ文字「a」を表します。
char c; |
エスケープシーケンス
文字リテラルにはエスケープシーケンス
という特殊な文字もあります。「 ¥ 」(Windowsの場合)もしくは「 \ 」(Mac)と組み合わせて1つの文字を表します。
文字 | 文字コード | 意味 |
---|---|---|
¥n | 0x0A | 改行 |
¥r | 0x0D | 復帰(行頭に戻る。) |
¥t | 0x09 | タブ文字 |
¥b | 0x08 | バックスペース |
¥¥ | 0x5C | ¥記号 |
¥’ | 0x27 | ‘(一重引用符) |
¥” | 0x22 | “(二重引用符) |
例題(文字リテラル)
以下をコーディングし、実行結果を確認してみましょう。
項目 | 名前 |
---|---|
プロジェクト | alj_study |
パッケージ | chapter2 |
クラス | Variable5 |
package chapter2; |
コンパイル例:> javac chapter2¥Variable5.java
実行例:> java chapter2.Variable5
あ
b
日
a
¥
'
"
文字列リテラル
“こんにちは”のように文字列(複数の文字)を"(2重引用符)
で囲ったものです。
種類 | 例示 | 書き方 |
---|---|---|
文字列 | “ああああ”、”AAAAAA” | 文字列を「”」で囲う。 |
空文字 | “” | “を2つ連続して書くと、空の文字列になる。 |
例題(文字列リテラル)
以下をコーディングし、実行結果を確認してみましょう。
項目 | 名前 |
---|---|
プロジェクト | alj_study |
パッケージ | chapter2 |
クラス | Variable6 |
package chapter2; |
コンパイル例:> javac chapter2¥Variable6.java
実行例:> java chapter2.Variable6
ああああ
AAAAAA
論理値リテラル
論理値は、true(真)とfalse(偽)のどちらかしかありません。関係式の値(判定結果)を表します。
“true”のように引用符で囲まないように注意してください。
例題(論理値リテラル)
以下をコーディングし、実行結果を確認してみましょう。
項目 | 名前 |
---|---|
プロジェクト | alj_study |
パッケージ | chapter2 |
クラス | Variable7 |
package chapter2; |
コンパイル例:> javac chapter2¥Variable7.java
実行例:> java chapter2.Variable7
true
false
true
4. 基本データ型の変換
リテラルを変数に代入する場合、必ずしも同じ型にしなければならないということは不便なので、暗黙の型変換
とキャスト(明示的な型変換)
いう、ある程度融通のきくような仕組みがあります。
基本データ型の変換には、暗黙の型変換とキャストの2種類があります。
暗黙の型変換
表現可能な値の範囲が小さい型のデータを大きい型の変数に代入するときは、自動的に型が変換されます。これを暗黙の型変換
といいます。
例えば、次のようにlong型やdouble型の変数へint型の値を代入してもエラーにはなりません。
long l = 10; //10Lに自動的に型が変換されてlへ代入される |
また、暗黙の型変換は式
の中でも行われます。double d = 1.2;
double x = d * 2; //2は2.0に自動的に型が変換されて計算に使われる
暗黙の型変換が行われるのは変換しても情報の損失がないケース
に限られます。情報の損失がある場合には変換できません。int i = 10.2; //10.2の小数点以下が失われるので、コンパイルエラーになる
暗黙の型変換が可能なケースは以下です。
- 整数型では
ビット幅の小さい型からより大きな型
へ暗黙の型変換ができる。 - 整数型は浮動小数点型へ暗黙の型変換ができる。
- char型のデータは、int型へ暗黙の型変換ができる。
- float型のデータは、double型へ暗黙の型変換ができる。
例題(暗黙の型変換)
以下をコーディングし、実行結果を確認してみましょう。
名前 | |
---|---|
プロジェクト | alj_study |
パッケージ | chapter2 |
クラス | Variable8 |
package chapter2; |
コンパイル例:> javac chapter2¥Variable8.java
実行例:> java chapter2.Variable8
y:5.5
キャスト(明示的な型変換)
自動変換ができないのは、情報の損失が発生する場合ですが、強制的にプログラマの責任で型を変換する方法があります。
その操作のことをキャスト(明示的な型変換)
といいます。
キャストをおこなう場合には、キャスト演算子を使用します。
[キャスト演算子の形式](キャストしたい型)データ ;
[例]double d = 3.14 ;
int i1 = (int)d ; // double型の変数dをint型の変数i1へキャストして代入
int i2 = d ; // double型の変数dをint型の変数i2へキャストしないで代入することはできない
例えば、先ほど暗黙の型変換をおこなったときに以下の場合はコンパイルエラーでした。int i = 10.2; //10.2の小数点以下が失われるので、コンパイルエラーになる
キャスト演算子を使用するとコンパイルエラーを回避することができます。
int i = (int)10.2; //10.2をint型へ強制的に変換し、int型の変数iへ代入する |
尚、以下の場合はキャストすることができません。
- boolean型はどのような型にもキャストできません。
- String型は基本データ型へキャストできません。
例題(キャスト(明示的な型変換))
以下をコーディングし、実行結果を確認してみましょう。
名前 | |
---|---|
プロジェクト | alj_study |
パッケージ | chapter2 |
クラス | Variable9 |
package chapter2; |
コンパイル例:> javac chapter2¥Variable9.java
実行例:> java chapter2.Variable9
配列
配列
は、同じデータ型のデータ
を効率良く扱うことができるデータ構造
です。
イメージとしては以下のような形です。
配列は、配列要素
、配列要素番号
で構成されています。
※尚、配列要素番号のことをインデックス番号
や配列添字
ともいいます。
配列の使用方法
配列を使用するためには、まず最初に、配列を宣言
しなくてはいけません。宣言は次のように行います。
[構文]型名[] 配列名;
変数の場合は、宣言するだけで一つの値を格納できる場所が確保されましたが、配列の場合、new演算子
を利用して、配列オブジェクト
というものを生成する必要があります。生成した配列オブジェクト
を宣言した配列名へ代入
し、初めて利用する
ことができます。
[構文]型名[] 配列名;
配列名 = new 型名[要素数];
[例(配列名aを宣言し要素数を5つ確保する場合)]
int[] a; |
各要素へ値(データ)を代入する場合は、以下になります。
[構文]配列名[要素番号] = 値(データ);
[例(配列名aの要素番号0から6へ代入する場合)]
a[0] = 123; |
宣言する時に代入する値が決まっている場合(初期化する場合)には、以下のように{}
で値を指定します。
[構文]型名[] 配列名 = {リテラルのリスト};
[例(配列名aを宣言し要素へ「123」、「2」、「300」、「999」、「30」、「554」、「876」を代入する場合)]
int[] a = { 123, 2, 300, 999, 30, 554, 876}; |
※ {
から}
の間に配列の中に入れたい要素
をカンマ区切りで記載します。
※ 配列は配列型
という一つの型(参照型)です。
利用したい場合は以下のようにします。
[構文]配列名[要素番号]
[例(配列名a(要素数が7)の要素をコンソールへ出力する場合)]
System.out.println(a[0]); |
例題(配列)
以下をコーディングし、実行結果を確認してみましょう。
項目 | 名前 |
---|---|
プロジェクト | alj_study |
パッケージ | chapter2 |
クラス | ArrayExec |
package chapter2; |
コンパイル例:> javac chapter2¥ArrayExec.java
実行例:> java chapter2.ArrayExec
1
1.2
よ
おはよう
true
多次元配列
配列の要素へ配列を代入することも可能です。
int[][] x = { { 10 , 2, 4, 9, 8, 7, 5 } , { 7, 2, 5, 4, 3 } }; |
このような配列を多次元配列
や2次元配列
、配列の配列
という。
多次元配列を利用する場合は以下のように指定します。
int[][] x = { { 10 , 2, 4, 9, 8, 7, 5 } , { 7, 2, 5, 4, 3 } }; |
要素の数を指定する場合は以下のように指定します。
int[][] x = { { 10 , 2, 4, 9, 8, 7, 5 } , { 7, 2, 5, 4, 3 } }; |
※多次元配列を利用する場合は、後述の章で説明するfor文のネスト
と組み合わせることで、
効率よく利用することが可能です。
コマンドライン引数
Javaプログラムは、コマンドライン上で指定したデータを、入力データとして扱うことができます。これをコマンドライン引数
と呼びます。
コマンドラインより渡されたデータは、文字列型(String型)の配列
として配列名argsへ代入されます。
例題(コマンドライン引数(文字列として利用する場合))
以下をコーディングし、実行結果を確認してみましょう。
項目 | 名前 |
---|---|
プロジェクト | alj_study |
パッケージ | chapter2 |
クラス | CommondLineExec1 |
package chapter2; |
コンパイル例:> javac chapter2¥CommondLineExec1.java
実行例:> java chapter2.CommondLineExec1 abc 123 3.45 こんばんは
abc
123
3.45
こんばんは
コマンドライン引数の変換
コマンドラインより渡されたデータを文字列型(String型)以外のデータ型として扱うには変換が必要です。
String型から数値型への変換を行う場合には、以下のメソッド
を利用します。
Integer.parseInt() |
メソッドに関しては後述の章で説明します。
ここでは文字列(String型)からint型へ変換するときに利用するInteger.parseInt()メソッド
の使い方のみ理解してください。
[Integer.parseInt()メソッドの構文]int 変数名 = Integer.parseInt(int型へ変換したいString型のデータ);
例題(コマンドライン引数の変換)
以下をコーディングし、実行結果を確認してみましょう。
項目 | 名前 |
---|---|
プロジェクト | alj_study |
パッケージ | chapter2 |
クラス | CommondLineExec2 |
package chapter2; |
コンパイル例:> javac chapter2¥CommondLineExec2.java
実行例:> java chapter2.CommondLineExec2 abc 100 400
abc
result : 500
章のまとめ
以下の要点を理解できたら次の章へ進んでください。
データ型
- データ型とはJavaプログラム内で使用されるデータの種類を表す形である。
- データ型には、文字や数値を扱う
基本データ型
とオブジェクトを扱う参照型
がある。 - 基本データ型として
整数型
(byte、short、int、long)、浮動小数点型
(float、double)、文字型
(char)、論理型
(boolean)がある。
種類 | データ型 | 読み方 | ビット幅 | 扱える値の範囲 | 使用例 |
---|---|---|---|---|---|
整数 | byte | バイト | 8 | -2の7乗〜2の7乗-1 | byte b = 10; byte b = 10; |
整数 | short | ショート | 16 | -2の15乗〜2の15乗-1 | short s = 20; |
整数 | int | イント | 32 | -2の31乗〜2の31乗-1 | int i = 30; |
整数 | long | ロング | 64 | -2の63乗〜2の63乗-1 | long l = 40L; long l = 40l; |
浮動小数点 | float | フロート | 32 | - | float f = 1.15F; float f = 1.15f; |
浮動小数点 | double | ダブル | 64 | - | double d = 1.25; |
文字 | char | チャー | 16 | -20〜2の16乗-1 | char c = ‘A’; char c = 97; |
真偽値 | boolean | チャー | - | true false |
boolean b = true; |
変数
変数
とは、コンピュータの中で処理に用いる値(データ)を一時的に保存
しておく場所
のことである。- 変数にはリテラルを
代入
できる。 =
は代入
を表す。- 識別子には
ルール(規則)
がある。また慣用
がある。 - 変数に代入する値は
同じ型
でなければならない。
リテラル
- リテラルとは、
データそのもののこと
で、変更ができないデータのこと
整数リテラル
- 10進数だけではなく、
16進数
、8進数
、2進数
のリテラルを使うことができる - 16進数を表す場合、
先頭に0xまたは0Xを付ける
- 8進数を表す場合、
先頭に0を付ける
- 2進数を表す場合、
先頭に0bまたは0Bを付ける
浮動小数点リテラル
- 小数点の付く値のこと、eまたはEを使って
指数形式
でも表記可能 末尾にfまたはFを付ける
とfloat型
とみなされる末尾にdまたはDを付ける
とdouble型
とみなされる何もつけない
とdouble型
とみなされる
文字リテラル
- 1つの文字を表す
- 文字表記の場合、文字を
'(一重引用符)
で囲う - 文字コード表記の場合、
ユニコード(Unicode)
を’(一重引用符)
で囲う - ユニコード(Unicode)は世界中の国の文字を1つの体系にまとめたもの
- 文字リテラルには
エスケープシーケンス
いう特殊な文字がある 「¥」
と組み合わせて1つの文字を表す- エスケープシーケンスも文字を
'(一重引用符)
で囲う
文字列リテラル
- 1文字列(複数の文字)を
"(2重引用符)
で囲ったもの - “を2つ連続して書くと、
空の文字列
になる
論理値リテラル
- 論理値は、
true(真)
とfalse(偽)
のどちらかしかない - 関係式の
判定結果
を表す - ある関係式の判定結果が
「真」
の場合、true
を表記する - ある関係式の判定結果が
「偽」
の場合、false
を表記する
基本データ型の変換
- 基本データ型の変換には、
暗黙の型変換
とキャスト
の2種類がある - 表現可能な値の範囲が小さい型のデータを大きい型の変数に代入するときは、
暗黙の型変換
が行われ、その逆はキャスト
する必要がある char型
のデータはint型
に自動的
に変換される
配列
- 配列は、
同じデータ型のデータ
を効率良く扱うことができるデータ構造である - 配列は、
配列要素
、配列要素番号(配列添え字)
で構成されている - 配列は、参照型(配列型)の一種で、メモリの
ヒープ領域
に作成される - 配列を使用するためには、配列の
宣言
し、配列型オブジェクト
を生成
する必要がある - 配列型オブジェクトを生成するためには、
new演算子
を使用する - 宣言する時に代入する値が決まっている場合には、
{ 配列リスト }
を指定する - { から } の間に配列の中に入れたい要素を
カンマ区切り
で記載する - 利用したい場合は、
配列名[要素番号]
を指定する
コマンドライン引数
- コマンドライン上で指定したデータは、
文字列型(String型)
のデータとして配列名args
へ代入される 文字列型(String型)
のデータをint型へ変換するためには、Integer.parseInt()メソッド
を利用する